2022/09/15
池野 池野文昭です。改めて今月号の「時評」では、山際大志郎内閣府特命担当(経済財政政策)、経済再生、新しい資本主義、スタートアップ担当大臣、モデルナ・ジャパン株式会社鈴木蘭美代表取締役社長をお迎えし、「新しい資本主義に向けて、将来のイノベーション・人づくりを考える」と題して、座談会を行うことにしました。特に、岸田文雄政権が掲げる「経済財政運営と改革の基本方針2022新しい資本主義へ~課題解決を成長のエンジンに変え、持続可能な経済を実現~」(骨太方針2022)の重点分野、日本のライフサイエンス分野におけるイノベーション創出やスタートアップについて議論を展開したいと思います。なお、今月号の「時評」(編集部注:2022年9月号)には高市早苗経済安全保障担当大臣(自民党前政調会長)、中外製薬株式会社奥田修代表取締役社長との座談会も掲載していますので、読者の皆さんにはぜひ本稿と照らし合わせながらご覧いただくことをお勧めしたいと思います。まずは、山際大臣、「経済財政運営と改革の基本方針2022」の閣議決定のポイントからお話いただけますか。
山際 今回はお招きいただき、ありがとうございます。「経済財政運営と改革の基本方針2022」は、岸田内閣の中核となる「新しい資本主義」の考え方を盛り込み、「市場も国家も」「官も民も」という新たな官民連携によって、社会課題を解決していくとともにそれを成長のエンジンに変え、持続可能な経済を実現していくことを提唱しているのが大きな特長と言えるでしょう。実現に向けた重点投資分野として、①「人」②科学技術・イノベーション③スタートアップ④GX・DX -などを柱に、官と民が中長期かつ計画的に投資や改革を進めていきます。
池野 改めて、「新しい資本主義」とはどういう意味なのか、ご説明いただけますか。
山際 「新しい資本主義」の意味については、よく聞かれるのですが、岸田総理以下、われわれ政府は、「資本主義のバージョンアップです」という回答をしています。つまり、従来の資本主義をベースに、さらに良いものに変えていくというのが基本的な発想で、特にわれわれは、「人」に対し、官と民が協働して投資をしていくことで、新たな成長のエンジンに変えていきたいと考えているわけです。
池野 言わずもがなですが、天然資源が乏しい日本で、国を支えているのは、「人のチカラ」ですからね。では、具体的に「人」に対してどのように投資されていくのでしょうか。