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【末松広行・トップの決断】鈴木与平(鈴与グループ代表)
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【末松広行・トップの決断】鈴木与平(鈴与グループ代表)
緊急事態を多様な事業構成でカバーし、視線は既に未来へ
すずき・よへい 1941年、静岡県出身。1965年慶應義塾大学、1967年東京大学経済学部卒。日本郵船を経て鈴与に入社し、1977年に代表取締役社長就任、2015年から代表取締役会長。フジドリームエアラインズ代表取締役。
静岡県清水港で創業以来220年、しかも時代の変遷にもまれながらも一貫して創業の地で事業を展開する鈴与グループ。既存の事業活動に安住することなく絶え間なく新分野の開拓に挑み、今では航空事業フジドリームエアラインズ(FDA)などで名を馳せている。〝食〟で都市圏から地域へ人を呼び込み、かつ次代の人材育成にも心血を注ぐ、8代目鈴木与平会長の熱い思いに迫っていく。
鈴与グループ代表
鈴木 与平
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創業220年、グループ総計約140社
末松
鈴与グループは非常に長い歴史を有し、また現在は多角的にビジネスの幅を広げておられます。まずグループ全体の概要からお聞かせください。
鈴木
遡ると、1801年に清水港で廻船問屋として創業し、以来220年の社歴を紡いでまいりました。現在の鈴木健一郎が第9代代表取締役社長となります。創業後も時代の変化や社会の要請に応じて数多くの事業を展開し、現在は鈴与㈱、鈴与商事㈱、鈴与建設㈱、鈴与自動車運送㈱の4社を中心に、食品、情報、航空、地域開発など多様な約140社がグループに集います。売上高は4420億円(2020年8月現在)のうち、物流事業が38%、商流事業が32%を占め、グループの中核を担っています。
末松
主要部門の事業についてご解説をお願いします。まず物流事業はいかがでしょうか。
鈴木
物流に関しては、「現場力」「解決力」「展開力」の三つの強みを軸に、国内全140拠点、延べ床面積94万平方メートルの物流拠点ネットワークを展開しています。約25のグループ運送会社と4600台を超える車両を擁し、強力な運送ネットワークを構築してきました。また地元清水において「清水港随一の荷揚げ業者」としての使命を担い、港内ファシリティをコントロールしています。清水港は364日24時間稼働で、全長700メートル、マイナス15メートルの大深水公共パースを有し、4万トン級の大型船も入港可能です。欧米やアジア間と直航コンテナ航路を有し、大都市港湾と遜色ない航路網を展開しています。
海外に目を向けると、1979年の米国事務所を皮切りに各国へ拠点を拡大、05年には国際的な大手インテグレーターであるユナイテッドパーセルサービス(UPS)と戦略的提携契約を締結しました。このUPSのネットワークを活用することで200以上の国・地域に荷物を送ることが可能です。また中国やインド、タイ、ベトナムでは自社倉庫を設け、日本企業の現地進出をサポートしています。また06年には製造業ライセンスを獲得し、医療機器物流業務を受託するなど、従来以上に多様な品目を取り扱っています。
末松
物流事業だけでも非常に幅広ですね、では商流事業については。
鈴木
こちらは省エネ・省コスト・省資源の実現と、環境に優しい価値づくりとモノづくりをテーマに、エネルギー、マテリアル、生活関連サービスの主要3分野で構成されています。近年の、環境対応のさらなる高まりを受け、2017年には省エネとIoT機器を活用したZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)のモデルハウスをオープンしました。
さらに静岡市と協働で、国内初となる電力売買の一括契約とVPP(バーチャルパワープラント)を組み合わせた、「エネルギーの地産地消事業」を推進しています。清掃工場からの余剰電力を市の公共施設に供給したり、各家庭で発電した太陽光発電を卒FIT電源として買い取り、地元小中学校に蓄電池を設置するなどの事業を行っています。また横浜市とも、再生可能エネルギーの普及と防災力の向上を目的に、VPP事業を展開しているところです。
同事業ではアグリビジネスも展開中です。この静岡は年間日照時間が日本有数の長さであることから、太陽光利用型植物工場で自社ブランド「あかでみトマト」を生産し、スーパーやレストランなどに販売しているほか、併設の加工場でドレッシングやトマトジュースなどもつくっています。ここではロボットやITなどを駆使し、スマート農業の実証や新商材の開発なども手掛けています。
(聞き手)末松広行
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