2023/07/06
昨年取りまとめが行われた「空の産業革命に向けたロードマップ2019」には、2022 年度のドローンのレベル4(有人地帯の目視外飛行)実現が明記されている。今後、さまざま活用が期待されるドローンだが、その操縦や制御、データの送受信に使用される電波の現状はどうなっているのか。
携帯電話の上空利用に関する取り組みや5G の商用サービスの開始を契機としたドローンを取り
巻く電波の現状について総務省電波部移動通信課の荻原課長に話を聞いた。
電波利用の高度化に向けて
――ドローンなどによる「空の産業革命」実現に向けた動きが活発化しています。電波利用の環境整備を担う貴課(移動通信課)の取り組みについてお聞かせください。
荻原 ドローンについては、その活用推進に向けた動きが活発化しています。ドローンは操縦や画像・データ伝送に電波を利用していますので、その電波利用環境の整備を所管する移動通信課の取り組みとドローンを取り巻く電波、その現状について説明させていただきます。
ドローンの活用が本格的に検討され始めた当初、市販されているドローンの多くには無線局免許を必要としないWi -Fi機器などが用いられていましたが、より高画質で長距離の映像伝送実現に向けて、電波利用の高度化・多様化に対するニーズが高まっていました。そのため総務省では、ドローンを含むロボットの電波利用の高度化に向けて情報通信審議会において使用可能周波数の拡大や最大空中線電力の増力などに向けた検討を実施。取りまとめられた技術的条件に基づいて、2016(平成28)年8月には無線設備規則等の省令を改正しています。
具体的には、ドローンを含むロボットの電波利用の高度化として、
①5・7 GHz帯をドローンなどの高品質な映像伝送などに新たに使用可能とする
②高品質な映像伝送などに利用可能な周波数(2・4 GHz帯)や、ドローン操作に利用可能な周波数
(73MHz帯)を拡大する
③最大空中線電力を増力することにより、5km程度の長距離通信を可能にする
などの制度整備を実施し、ドローンの利用に必要な周波数帯の整備を行いました。
無線局の利用にあたっては……(続きはログイン後)