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シリーズ/2020新たな都市を展望する

官民連携によって新たな都市を創っていく

国土交通省都市局長 北村知久氏
国土交通省都市局長 北村知久氏

2020年を迎え、これまで特集してきた都市再生に関わる政策目標年度が間近に迫っている。世界的な都市間競争の中で、都市再生特別措置法に基づき、02年以降、全国92地区(約209ヘクタール)で、都市再生が促進され、認定民間都市再生事業の延床面積は東京ドーム約389個分に達する。都市再生緊急整備地域は、人口、世帯数、地価のいずれの指標においても当該市区のそれ以外の地域よりも高い増加傾向を示している。こうした着実な実績を背景に、19年の都市総合力ランキングにおいて、東京はロンドン、ニューヨークに次いで世界3位に輝いた。(12年の同ランキングで、東京は4位。東京都の都市再生緊急整備地域は、東京都心・臨海地域をはじめ、渋谷駅周辺、池袋駅周辺など7地域2945ヘクタールに当たる。
 そこで、時評では「2020新たな都市を展望する」というテーマで特集し、都市再生緊急整備地域をレポートすることにした。シリーズの第1回には、国土交通省都市局長北村知久氏に都市再生の在り方を展望してもらうと同時に、20年度の都市局の主要事業について聞いた。(聞き手・中村 幸之進)

―――都市再生特措法に基づき、これまで東京都、三大都市圏を中心に全国92地区で都市再生が推進されていますが、東京五輪の開催などこれまで進めていた都市再生の節目となる2020年を迎えようとしています。

北村 「都市再生緊急整備地域」においては、民間主導による都市再生を推進するため、わが国の経済をけん引する核となる地域を都市再生本部(内閣府所管)が「都市再生緊急整備地域」として定め、当該地域内において国土交通省がさまざまな支援措置を講じています。もともと競争力の高い地域ということもあり、まずは民間事業者のノウハウ・資金等を活用し、公共施設整備を伴う都市再生を推進していただくというのが基本スタイルになっています。併せて、道路や鉄道施設などの重要インフラや市街地開発事業の都市基盤整備については、国としてもしっかりとサポートしています。

―――確か、緊急整備地域の中に、国土交通大臣の認定制度があったかと思いますが。

北村 はい。国土交通大臣の認定を受けた優良なプロジェクトについては、税制の優遇措置や(一財)民間都市開発推進機構による金融支援(メザニン支援)などを受けることができます。さらに、シティプロモーションする上で、まちの魅力を発信するツールの多言語化についてもサポートしています。

―――世界的な都市競争の中で、19年の都市総合力ランキングにおいて、東京はロンドン、ニューヨークに次いで世界3位に輝いたと聞きました。

北村 12年の同ランキングでは、東京は、ニューヨーク、ロンドン、パリに次いで4位でしたが、「日本再興戦略2013」において20年までに3位以内を目標に定めていましたので、まずはほっとしています。ただ、アジアのライバル都市から追随されている東京も含め、わが国の大都市が国際競争力を堅持し、民間からの投資が持続できるよう国も環境整備をしっかりと応援していきたいと考えています。

官民連携で、ウォーカブル都市の構築を目指す

―――では、2020年度(令和2年度)の主要事業について伺いたいのですが、「居心地が良く歩きたくなるまちなかづくり」(ウォーカブル都市の構築)が着目されます。

北村 例えば、地方都市の活性化を具体的に実施していく中で、どうしたらにぎわいのある都市やまちが具現化できるのかということを考えますと……(続きはログイン後)

世界的な都市間競争の加速(資料提供:国土交通省)
世界的な都市間競争の加速(資料提供:国土交通省)

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