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「空の産業革命」の 実現に向けて/国土交通省 梅澤大輔氏

―ドローンのレベル3.5飛行制度新設と今後の展望―

うめざわ だいすけ/昭和44年3月生まれ、兵庫県出身。東京大学大学院工学系研究科航空学専攻。 平成5年運輸省(現国土交通省)航空局技術部航空機安全課、20年航空局技術部乗員課長補佐(総括)、22年外務省在カナダ大使館一等書記官(ICAO駐在)、25年国土交通省航空局安全部航空機安全課航空機技術基準企画室長、28年航空局安全部運航安全課乗員政策室長、令和2年航空局航空ネットワーク部国際航空 課航空交渉官、4年1月大臣官房参事官(次世代航空モビリティ)を経て、同年4月より現職。
うめざわ だいすけ/昭和44年3月生まれ、兵庫県出身。東京大学大学院工学系研究科航空学専攻。 平成5年運輸省(現国土交通省)航空局技術部航空機安全課、20年航空局技術部乗員課長補佐(総括)、22年外務省在カナダ大使館一等書記官(ICAO駐在)、25年国土交通省航空局安全部航空機安全課航空機技術基準企画室長、28年航空局安全部運航安全課乗員政策室長、令和2年航空局航空ネットワーク部国際航空 課航空交渉官、4年1月大臣官房参事官(次世代航空モビリティ)を経て、同年4月より現職。

 ドローンなど無人航空機の飛行領域の拡張(レベル1~レベル4)に伴い、さまざまな分野で無人航空機が利用されることで空の活用を通じて産業、経済、社会に変革をもたらす「空の産業革命」。これまで、さまざまな取り組みが行われ、2022 年には無人航空機のレベル4飛行制度が開始。空の変革に大きな期待が寄せられていたところ、23 年12 月にレベル3.5 飛行が新設された。では、レベル4の後で新設されたレベル3.5とはどういった制度なのか。また新設の背景から概要について、さらに実証・実装の進められるドローン物流・配送サービスの現状からドローンを取り巻く現状と今後の展望について国土交通省航空局安全部無人航空機安全課の梅澤課長に話を聞いた。

国土交通省航空局安全部無人航空機安全課長
梅澤 大輔氏


「空の産業革命」とドローンを取り巻く現状

――ドローンを含む無人航空機の飛行する領域がレベル1からレベル4へと広がり、多様な産業分野の幅広い用途に無人航空機が利用されるようになることで、無人航空機による空の活用を通じて、産業、経済、社会に変革をもたらす「空の産業革命」。これまでもさまざまな取り組みが進められ、2022年にはレベル4飛行が可能になりましたが、改めて無人航空機(以下、ドローン)を取り巻く現状についてお聞かせください。

梅澤 「空の産業革命」とは、ドローンの飛行形態がレベル1、2から、より高度なレベル3、そして最終的にはレベル4へと広がり、多様な産業分野の幅広い用途でドローンが利用されるようになることで、ドローンによる空の活用が進み、産業、経済、社会に変革をもたらすことをイメージして使用されている言葉です。

 また、この「空の産業革命」が進んだ将来の社会像として、多数の自立飛行するドローンが空を飛び交い、都市における物流などのさまざまなサービスを提供する社会の実現が期待されています。

 先述の通り、ドローンの飛行形態にはレベル1から4まであり、具体的にはレベル1は目視内で機体を自ら操縦する飛行、レベル2は目視内での自立飛行、レベル3は無人地帯での目視外飛行、そしてレベル4は有人地帯での目視外飛行となります。

 これまでドローンの利活用(レベル4)の実現などに向けては、「小型無人機に係る環境整備に向けた官民協議会」で策定される「空の産業革命に向けたロードマップ」に基づき「環境整備」、「技術開発」、「社会実装」の三つを柱として取り組みを進め、政府目標とされた22年度中のレベル4飛行を計画通りに実現しました。

 また、昨年(23年)12月にはドローンによる物資配送の事業化に向けた「レベル3・5」飛行制度を新設しました。このレベル3・5飛行の導入により、地上の安全確保に必要な「立入管理措置」に関する事業者のコスト負担は大幅に軽減され、ドローンによる物資配送の事業化が進んでいます。

 一方、ドローンの制度については、まだ改善すべき点もあるといった声も耳にしていますので、より強力に事業化を推進するべく、23年12月には「無人航空機の事業化に向けたアドバイザリーボード」を設置し、事業者の方々との意見交換を通じて不断に制度の見直しを行っていくことにしています。

 またレベル4飛行については、これまで3例の飛行例がありますが、レベル4飛行が可能な第一種型式認証取得ドローンを増やすといった取り組みを通じて、レベル4飛行を増加させ、人口密度の低い地域から都市部へ順次拡大を図っていくことが必要だと考えています。

 さらに、これからドローンの利活用が進むと、運航密度を上げていく必要が出てくるものと考えられます。今後はドローンの運航管理(UAS Traffic Management:UTM)や一対多運航への対応といった課題についても、制度面での対応が必要になってきますので、そのために必要な取り組みを進めているところです。

 ドローンについては、さまざまな分野における利活用への期待がより一層高まっていることから、そのための環境整備に加えて、利活用や事業化の拡大に向けた取り組みも必要になると感じています。

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