2022/06/08
2020年3月に商用サービスを開始した5G(5generation =第5世代移動通信システム)は、国民生活の利便性向上に大きく寄与しようとしている。しかし総務省は既に10 年後の2030 年代をにらみ、5Gの次なるBeyond 5G の世界を描こうとしている。その実現に向けて、昨年末には官民連携の推進コンソーシアムも設立された。将来の情報通信社会の在り様を、布施田課長に語ってもらった。
Tweet現在、国民生活において電波の利活用は不可欠ですが、1950年代は、まだ公共分野における低周波数帯の利用が中心で、局数も5118局ほどでした。それが1985年の電気通信業務の民間開放によって、移動通信分野を中心に電波利用ニーズが急速に拡大しました。それでも局数は381万局にとどまっていましたが、2020年6月時点で、携帯電話等の契約数は1億8352万件へと飛躍的に伸びて日本の総人口1億2600万人を上回り、局数は約2億6626万局にのぼります。
さらに、無線LANや特定小電力無線局など多くの免許不要局が開設され、これらを加えるともっと数が増えることになります。さらに携帯電話や放送だけでなく、Wi -Fiや非接触ICカードなど、多くの電波利用機器が国民生活に浸透し、今や電波は日常生活のあらゆる場面で利用されるようになりました。
また、情報通信システムはおおよそ10~20年ごとに、技術が飛躍して世代交代する、というパターンをたどってきました。すなわち次の10年にあたる2030年代を想定し、世界中が現在の5Gを超えるBeyond 5Gの技術開発に向けしのぎを削っている、という状況です。
超高速、超低遅延、多数同時接続
改めて、5Gの特長を整理してみましょう。一言で申せば、超高速、超低遅延、多数同時接続、ということになります。過去の1~4G時代は高速・大容量化の追求で進化してきましたが、5Gに至って、超低遅延と多数同時接続の機能が新たに加わりました。従って、超低遅延
と多数同時接続を生かしたサービスが、5G特有のサービスであると言えるでしょう。
超高速とは、短時間で多くの情報を送れることを意味します。例えば2時間の映画を3秒でダウンロードすることなどが可能です。超低遅延は反応が素早く帰ってくることを示し、ロボット等の精緻な操作をリアルタイム通信で実現することができます。多数同時接続では……(続きはログイン後)