2011年に法律が施行された農林漁業の「6次産業化」。その成果は着実に広がっているものの課題も浮き彫りとなり、一段進んだ対策が求められている。昨年導入された「エグゼクティブプランナー」による支援、さらにBtoBという新たな分野の開拓など、「6次産業化」の今後の展開について、髙橋課長に語ってもらった。
1次から3次まで一体化した産業として
―――改めて「6次産業化」とはどのような概念なのか、ご解説いただけますか。
髙橋 2011年3月に施行された、いわゆる「六次産業化・地産地消法」の前文には、「一次産業としての農林漁業と、二次産業としての製造業、三次産業としての小売業等の事業との総合的かつ一体的な推進を図り、地域資源を活用した新たな付加価値を生み出す取組」と書かれています。1次×2次×3次=6次で「6次産業化」ということです。1次+2次+3次=6次の足し算ではなく掛け算にしているのは、1次から3次まで欠けることなく一体化した産業であるからです。足し算の場合は1次が欠けても5次産業となりますが、掛け算では0となり、新たな付加価値を生み出す姿になりません。
なぜ「6次産業化」が求められるのか。1次段階すなわち国内の農林水産物生産段階の生産額が9・2兆円であるのに対し、その後さまざまな加工が施され流通段階を経て、最終的な飲食料になった時の国内消費額は76・3兆円で、加工・流通の段階で大きな付加価値が生み出されています。例えばコンビニなどで目にするおにぎりの原材料となるお米の原価は、1個当たり20円ほどだと思われますが、店頭ではだいたい100円以上で販売されています。このように消費者のもとに商品が届くまでに生み出される付加価値を、もう少し1次段階で生み出すことで農山漁村の所得向上に寄与するべきだ、という問題意識が「6次産業化」の原点です。
もちろん、お米をおにぎりにするだけでなく、あらゆる加工食品でも同様ですが、原材料を加工、包装して販売するには技術やノウハウが必要で、農林漁業者が自ら行うのは容易ではありません。従ってそれを国が支援するという考えのもと法制化されたのが、冒頭の「六次産業化・地産地消法」です。
―――法制度のポイント、およびそれに基づいた農水省の支援施策の内容はどのようなものでしょうか。
髙橋 まず、「6次産業化」に取り組もうとしている生産者の方から……(続きはログイン後)