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【森信茂樹・霞が関の核心】金融庁長官・遠藤俊英氏

地方経済を支える地域金融機関の活性化へ 

金融庁長官   遠藤俊英氏
金融庁長官 遠藤俊英氏

 日本の地域経済は現在、大きな岐路に差し掛かっている。地域の中小事業者は事業承継の問題を抱える上に今般の新型コロナウイルスの影響で深刻な資金繰りに悩み、また地域金融の核である地方銀行も、超低金利や高齢化人口減によって経営上問題に直面している。金融当局として長期、短期ともにこの難題にどう対峙しようとしているのか―――遠藤俊英長官に、幅広く解説してもらった。

中小企業の資金繰りに対応
 森信 4月上旬現在、国際社会はコロナ禍に見舞われていますが、金融庁ではごく大まかに、コロナ問題に対してどのような対策を取ろうとしているのか概要を教えてください。

 遠藤 この2~3月、個人事業者を含めた中小企業の資金繰りをどうするべきか、というのが現下における最重要課題でした。

 政府系金融機関に関しては、3月に無利子・無保証の対策が打ち出され、公庫を中心に多くの事業者に利用されています。対して民間の金融機関についてはこれを側面支援する形で資金繰りに関するさまざまな商品を提供しており、事業者が政府の無利子制度を利用したいという場合に、実際に利用できるようになるまでの間を〝つなぐ〟ため、即日融資を可能とするような商品をたくさん揃えています。われわれも、民間の金融機関に対してはそのような形でぜひ、中小の事業者を支えてほしいと思っています。

 金融庁としては、これら民間金融機関の背中を押すために、週に1回特別ヒアリングを実施して、どんな金融機関がどのような対応を図っているのか把握し、その上でちょうど3月末に対策を発表しました。

 森信 どのような内容でしょうか。

 遠藤 金融機関から事業者に対する金融支援のベストプラクティスを取りまとめ、他の金融機関もこれを参考にしてもらうべく発信しています。また、商工会議所にもこの金融機関のベストプラクティスを発信しており、時にはわれわれも商工会議所などに出向いて、金融機関がこういう取り組みをしていますよ、と傘下の企業に対して参考にしてもらえるよう内容を説明したり、企業にベストプラクティス集を渡してもらったりしています。

 それによって、傘下の企業がメインバンクと交渉する時、こういう対応をしている地域金融もあるではないですか、ぜひ御社も考えてください、と企業側から金融機関にむしろ提案できるよう、交渉において活用してもらうことを目指しています。われわれが金融機関の背中を推すと同時に、企業側からも提案してもらうという双方向からのアプローチによって、この危急の際の資金繰りを乗り越えられればと考えています……(続きはログイン後)

(聞き手)森信茂樹氏
(聞き手)森信茂樹氏

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