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主幹が問う「この國のかたち2022」山東 昭子氏

官僚が視野を広げ、 他分野と連携する機会の創出を

参議院議長 山東 昭子氏
参議院議長 山東 昭子氏

 山東昭子参議院議長は、参議院史上最多8回の当選を数え、長年にわたり多くの国家的課題に対峙してきた。そして今般、新型コロナウイルス感染拡大という困難に見舞われながら、ポスト・コロナを見据えた新たな社会の在り方を模索している。気候変動対応や少子高齢化など、豊富な知見と広い視野をもとに、数々の問題に対して幅広く持論を展開、提言を行ってくれた。/聞き手・米盛康正(本誌主幹)撮影:児玉大輔


新たな包摂社会形成の兆し

――議長は、昨年2021年をどのような一年だったと総括されておられますか。

山東 やはり新型コロナウイルス感染拡大の影響がさらに深刻化した一年だったと言えるでしょう。コロナ禍が始まったのは前年の2020年ですが、同年がコロナ発生に伴う新たな危機の対応に追われた感があるのに対し、昨年は経済の疲弊や停滞、また各種活動や交流の自粛などさまざまな影響が固着化して、社会全体が陰鬱な空気に覆われた一年だったのではないかと思います。

 もちろん、多々ご意見はありましたが、一年繰り延べた東京オリンピック・パラリンピックが無事開催されたのは日本にとって記憶に残る出来事となりました。2021年9月、130以上の国・地域が参加したオーストリアのウイーンで開かれた第13回女性議長会議および第5回世界議長会議に出席した折は、多くの議長・関係者から開催と成功について称賛されました。

 また、開催によってポスト・コロナにおける新たな社会意識形成の兆しが見えました。

――新たな社会意識とはどのような。

山東 特にパラリンピアンの活躍が、国民に元気を与えたとともに、この機に障害を抱えた人たちに対する社会の捉え方が変わっていくのではないでしょうか。これまで、わが国では、障害を負った方々に対して、ある種の同情をもって接することが一般的な傾向だったと思われます。しかし先進的な国々ではこれらの方々を一般の人がごく自然にサポートする、そうした受容の姿勢が社会に根付いているのです。だから障害のハードルが低く、いろいろな分野で自立し活躍され、社会の活気につながっています。

 この点、パラリンピックの開催と選手の活躍によって、日本においても視点が同情ではなく一般的な存在へ、また障害のある方もハンディキャップトではなくチャレンジドとして社会に参画していくという、新しい包摂社会への萌芽が感じられました。

――そのためにも、一日も早いコロナ禍の終息が待たれるところです。

山東 感染拡大以後、観光業界、飲食業界への影響は甚大を極めています。この分野は女性の就業率も高いため、非正規雇用労働の方々と併せ経済的打撃が大きく、社会からの孤立感の高まりも作用して、女性の自殺者が増加したのは本当に残念でなりません。

性別を問わず能力重視の社会へ

――では、女性がさらに活躍する社会へのご提言などうかがえれば。

山東 これは企業の姿勢、意識改革の在りように懸かっていると言えるでしょう。以前に比べれば確かに……(続きはログイン後)

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