2024/08/01
2001年の行政改革の結果、行政機関には政策の評価が義務付けられたが、いまだ〝お手盛り〟との批判は絶えない。公務員の経験がある著者は、身内の評価なのだから甘くなるのは当然、という、一般的な理屈に思考を止めず、なぜ政策は検証できないのか、そのメカニズムを解明していく。
評価機関の評価従事者へのアンケートなど、著者の検証から明らかになったのは、出世への望みや、世論とのバランス感覚、相互牽制など従事者たちの心の動きや、ボトムアップ型など官僚組織の制度がもたらす構造的問題。〝作為的評価〟を超え、政策評価制度が真に国民の信頼を得るにはどうすればいいのか――本書は、評価制度がはらんだ矛盾の存在に目を開かせてくれる。
(月刊『時評』2020年8月号掲載)