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【レポート】伊豆半島の観光型MaaS〝Izuko〟

アプリからWeb ブラウザに変更され、すぐにアク セス可能になった。 (出典:東急株式会社) ※画面はイメージ
アプリからWeb ブラウザに変更され、すぐにアク セス可能になった。 (出典:東急株式会社) ※画面はイメージ

 東急株式会社、東日本旅客鉄道株式会社、株式会社ジェイアール東日本企画は、このほど伊豆半島で展開した観光型MaaS(Mobiliy As a Service)〝Izuko〟(イズコ)の実証実験結果を発表した。〝Izuko〟は、伊豆半島の鉄道、バス、AIオンデマンド乗合交通や、観光施設、飲食、レンタサイクルなどをスマートフォン(スマホ)上で検索、予約、決済でき、目的地までシームレスに移動できる2次交通統合サービス。国土交通省が、昨年度MaaS元年として19の先行モデルの一つ(観光型MaaS)として位置付け、注目を集めていた。
 実証実験は、2019年4月1日~6月30日まで(フェーズ1)と、12月1日~20年3月10日まで(フェーズ2)の計約190日にわたって実施された。結果は、スマホへのダウンロード数は、フェーズ1期間中に2万3千件以上を記録し、全期間で6166枚のデジタルチケットが販売された。〝Izuko〟は、フェーズ1期間中、専用アプリとしてサービスされていたが、ユーザーからの「ダウンロードの手間が面倒」などの声に応える形で、フェーズ2からはWebブラウザに変更。操作方法に関するコールセンターへの入電数は、フェーズ1と比較して7分の1以下と大幅に減少したと言う。「交通機関や観光施設のデジタルチケットが一定数利用され、国内の観光型MaaSの中では圧倒的な利用規模になった」(東急社長室広報グループ)と総括した。
 中でもクローズアップされるのが、下田市内を走るAIオンデマンド乗合交通だろう。同サービスは、今回の実証実験を機に新たに導入され、8~9人乗りのジャンボタクシーが平日1台、休日に2台稼働する。27カ所のバーチャル停留所が設定され、利用者が〝Izuko〟を 通じて、乗車場所、降車場所を選ぶと、近くにいる車両がリアルタイムでマッチングされる仕組み。観光スポットはもちろん、病院や銀行、スーパーなど地元住民の足としても活用の可能性が期待されている。フェーズ1では無料サービスだったが、フェーズ2では有料化(1日乗り放題400円)したにも関わらず、利用客数や1人当たり乗車回数が約1・3倍に上昇した。
 同市内は、旧市街地になっていて、「大型のバスだとなかなか回り切れない場所も多い。タクシー以上、バス未満の利用者ニーズをうまくすくい上げている」(下田市統合政策課)と地元の反応も上々だ。今後は、二回の実証実験を通じて明らかになった課題をさらに抽出し、「社会 実装に向けたあるべきサービスを目指し、最終的な実証実験を20年秋以降で展開していく」(東急社長室広報グループ)としている。