2021/08/23
産学官連携による予防・健幸都市づくりを目指し、70歳生涯現役都市を構築しよう―。浜松市(鈴木康友市長)では、人生100年時代を見据え、予防医療や介護の充実、70歳までの就業機会の確保などをテーマに、国や地域の医療・大学関係者、企業関係者を集めた座談会がグランドホテル浜松で開催された。持続可能な都市経営を進めている同市が、国が進める社会保障改革のうち、予防健康分野に着目し、市政に反映させる方法論を探究するのが狙い。
座談会は、経済産業省商務サービスグループ政策統括調整官兼厚生労働省医政局統括調整官兼内閣官房健康・医療戦略室次長の江崎禎英氏が「人生100年時代の医療・介護」と題して講演。次いで、鈴木市長、江崎氏のほか、スタンフォード大学循環器科主任研究員池野文昭氏、社会福祉法人聖隷福祉事業団理事長・山本敏博氏、一般社団法人浜松市医師会会長滝浪實氏、国立大学法人浜松医科大学理事・副学長山本清二氏、国立大学法人静岡大学理事・副学長木村雅和氏らが「産学官連携による予防・健幸都市づくり」に向けて討論した。
鈴木市長は、同市が東海地域で名古屋に次ぐ大都市圏であると同時に、地方の課題を併せ持つ日本の縮図でもある点について言及。これを受け、池野氏が参加者の意見を集約する形で医療・大学関係者の支援とともに「民間企業の力も結集し、浜松で予防・健幸都市構築のため、社会実証事業を行う『浜松ウェルネス・ラボの構築』」を提言した。
鈴木市長は、池野氏の提言を基に、産学官による「予防・健幸都市・浜松」プラットフォ―ムを構築していくことを宣言。予防・健康づくりに関する社会実証事業を「浜松ウェルネス・ラボ」を中心に進め、社会実証実験への協力および成果を市民・地域へ還元していくことを目指すとして、座談会は盛会のうちに幕を閉じた。今後、「時評」では折に触れ、浜松市の動向をレポートしていく。(月刊『時評』2020年1月号掲載)