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東京事務所長に聞く【大阪府東京事務所長 春名克俊氏】

今は、万博成功を目指して奔走中。大阪の政策実現が何よりのやりがいです。

大阪府東京事務所長 春名 克俊氏
大阪府東京事務所長 春名 克俊氏



――大阪で「2025年日本国際博覧会」(以下、大阪・関西万博)」が開催される予定ですが、東京事務所の役割について教えてください。

春名 大阪・関西万博は、「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに25年の開催に向けた準備を進めていますが、成功のためには、国、博覧会協会、全国の自治体、経済界、教育・研究機関などが、一体となって取り組んでいくことが欠かせません。
 メインの仕事は、地元・大阪の本庁になりますが、東京事務所においても首都圏における情報発信や、政府・各省庁、国会議員の皆さんへの要望活動や、各都道府県の東京事務所への協力の要請などさまざまな調整を行っています。開催に向けて気運を盛り上げていくためにも、より多くの皆さんのご協力とご支援が得られるよう、努力していきたいと思っています。

――東京事務所の様子を拝見すると、大阪府域(大阪府・大阪市・堺市)の三つの自治体が一緒に運営されているのが印象的です。

春名 都道府県会館にある府東京事務所に、12年に大阪市東京事務所が、19年に堺市東京事務所が移転し、三者一体の運営がスタートしました。もちろん、それぞれ独立した自治体ですから、本庁との連携や、首長の首都圏における活動などは個別に行っています。
 事務所内には、合計25人の職員・スタッフがいるので、やや手狭になった感もありますが、格段に情報共有がしやすくなりました。上述の大阪・関西万博事業のサポートのようにすぐに連携できるのが何よりのメリットだと感じています。経費面でも年間あたり計2,300万円ほどの削減効果がありました。

――なるほど。目に見える形で連携効果を説明いただけるのは、本当に大事なことだと思います。

春名 19年に堺市などの「百舌鳥・古市(もず・ふるいち)古墳群」が世界遺産に登録された際には、府の持つ中央省庁との強いネットワークを活用して要望活動を行う一方で、同市の観光交流イベントに府が便乗して事業のパンフレットを配らせてもらうなどの相乗効果もありました。
 府東京事務所は、観光PRのための予算はゼロなのですが、大阪市や堺市などの事業にちゃっかり便乗させてもらっています。「人の褌(ふんどし)で相撲を取る」作戦ですね。

――大阪ならではの、バイタリティーを感じます。

春名 私たちの仕事は、府の政策実現ですから、さまざまな方に府の政策に興味を持っていただくことが何より大事な仕事だと思っています。予算がなくても工夫して、大阪の魅力をどんどん発信していきます。
 実際、都内の百貨店で大阪産品のフェアをすると聞けば、駆けつけて、万博ののぼりを立てたり、「もずやん」という府の公式キャラクターの着ぐるみを職員が着て踊ったりもしています。

――春名所長は、東京事務所長としての在任期間が全国で最長だと聞きました。

春名 現在、所長在任7年目です(21年2月時点)。長くこの仕事をするうちに、情報の密なやりとりが最も大切だと気が付きました。そのためには日々の人脈づくりがポイントで、霞が関の職員や国会議員、経済人の皆さんとの意見交換が非常に重要な仕事になっています。最近も、ある国会議員の方から「大阪のここ、どないなってんねん。教えてよ」と気軽に尋ねていただきましたが、実は、こういった何気ないやりとりが非常に有難いのです。こうしたご縁をきっかけに一緒に走り回っていただいて、結果として政策実現に結び付いたことがこれまで何度もありました。
 今はコロナ禍でさまざまな制約があり、フェイスtoフェイスに匹敵する情報交換がなかなか叶わないので、正直、苦戦中です。同じ悩みをお持ちの方は多いでしょうが、新しいやり方も模索しながら皆さんと一緒に頑張っていきたいと思っています。

(本記事は『時評』2021年3月号掲載の記事をベースにしております)