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東京事務所長に聞く【大分県東京事務所長 阿部万寿夫氏】

困難な時こそ人のつながりを大切に。次の仕掛けも考えています

大分県東京事務所長 阿部万寿夫氏
大分県東京事務所長 阿部万寿夫氏



――今回3回目の東京事務所ご着任だそうですが、すぐにコロナ禍での対応に奔走されたと聞きました。

阿部 実は、東京での初仕事は新型コロナ対応でした。就任が決まった2020年3月末は、世間の感染状況が日々悪化していて、これはスピード勝負だと感じました。とにかく、東京事務所からコロナ感染者を出さないように努力することが何よりも重要だと考え、上京してすぐ資料を集め、4月10日には東京事務所独自の「コロナ対策要領」を策定したのです。

――かなり迅速な対応に思えますが、内容が細かく作られていて驚きました。

阿部 やはり、東京事務所職員33人の生活を預かっていますから、どんな状況でも、すべきことや連絡する相手が明確になるよう、あらゆるパターンを想定して微細に決めたわけです。例えば、東京では宿舎が2カ所ありますから、各保健所や都への連絡体制、万一事務所を閉鎖した場合の対応など、具体的なケースに応じて各職員や家族が行動できるように努めました。
 私を含め、職員の大半は、単身赴任です。初めて上京する職員や、民間企業や官公庁への出向者などのメンタル面のケアも重要だと考え、年長者が一人ずつケアをする担当を決め、頻繁に様子を確認したり、宿舎で話を聞く機会を設けたりしてここまで何とかやってきました。

――新型コロナは、国では第三波を迎えていますが、現在(21年1月時点)はどのような対応をされているのですか。

阿部 現在でも、都内の感染状況に合わせながら所内の約3~8割をリモート勤務しています。4月当初に本庁と掛け合って、非正規も含めた職員全員にポータブルPCを支給しました。それから仕事の業務内容を課ごとに見直し、できるだけオンラインでも仕事が回っていけるように工夫しました。

――詳しく教えてください。

阿部 例えば、20年4月から大分県は、都内有名百貨店とタッグを組んで、さまざまな商品展開を行い、取り扱い品目を2倍、3倍と増やしてきました。これは、私が役員の方と30年来のお付き合いがあったことから、そこを起点にやりとりを始めてマーケットを拡大しているわけです。コロナ禍においては、初対面から人脈を増やしていくのは難しいかもしれませんが、既存のネットワークを生かした形態だとオンラインでも十分に対応できる好例だと思います。

――なるほど。ところで阿部所長は、初代の「おんせん県おおいた」課長を務められたそうですね。「おんせん県おおいた課」とはどんな部署なのですか。

阿部 まさに「おんせん県おおいた」を広める課です。私は長く観光施策に携わってきましたが、例えば、別府や由布院などの知名度は高いのに、一方で県の知名度が低いと感じていました。そこで、9年前から「日本一のおんせん県おおいた」というキャッチフレーズを広めようと全国展開を始めました。限りある予算の中で、自分の足で東京のTV局等を回って、メディア露出を仕掛け、交渉も行いました。おかげで「世界の果てまで行ってQ」などさまざまな番組とタイアップして、大分の温泉でシンクロナイズドスイミングをする「シンフロ」などのPRに成功しました。

――私も「シンフロ」は、鮮明に覚えています。あのCMの仕掛人は阿部所長だったわけですね。では東京事務所長として、阿部所長が、ぜひ仕掛けていきたいテーマは何ですか。

阿部 実は、県は、16年前から東京銀座で「坐来大分(ざらいおおいた)」(以下、「坐来」)というアンテナショップ型レストランを運営しています。東京に居ながら、大分の味わいが楽しめるというコンセプトなんですが、単なるレストランという以上に「在京のメディアを集める情報発信の場」として活用してきました。今年は、コロナ禍に負けないためにも、より人通りの多い場所への移転を計画しており、今後とも「坐来」を舞台に、メディアをはじめ東京の皆さんの胃袋をつかむべく、より一層の情報発信に努めていきたいと考えています。

(本記事は『時評』2021年1月号掲載の記事をベースにしております)